神事のいろは

神事のいろは・家庭祭祀

町並みのなか、ビルの谷間にも、人々の生活のあるところには、必ずこんもりと茂った森があります。 森は神々をまつる場所として、古くから大切に守り伝えられてきました。そうした森に囲まれて神社が鎮まっています。 日本には、天照大御神(あまてらすおおみかみ)をまつる伊勢の神宮をはじめ、たくさんの神社が鎮座しています。 それぞれの神社は、創祀以来その地に住む人々の崇敬を集め、祭り等を通じて常に地域社会と関わり、今日に至っています。 神社の入り口には、そこが神聖で清らかな場所であることを示す、鳥居がたっています。 鳥居は、古くから日本人が神聖なものを表すシンボルとしてきました。 神社の鳥居は深い森や巨木の傍ら、山の頂や麓、川岸や海岸、島や岩礁など、神さまの力を見いだす場所にたてられています。 北海道の神社は、主に海岸部の漁業や交易の守護としてまつられたお宮と、 開拓とその後の農業林業の守護としてまつられたお宮に大別されます。 そこは地域に根ざし、厳しい自然と向かい合って生きてきた人々の心意気が込められた場所であり、 心の支えとしてきた精神文化の生きた証拠でもあります。 大海原を見渡し、限りなく広がる田畑を見つめる神々の息吹が宿る場所であり、 そこで行われる祭りはその息吹に直接接する機会でもあります。 何気ない普段の暮らしに、心の充実を求めるとき一度は触れたい先人の心、それが神社ではないでしょうか。

神社とは

皇室の御祖神、国の総氏神様として、 伊勢の地におまつりされている神宮は天照皇大御神様(あまてらすすめおおみかみ)をおまつりする皇大神宮《内宮》と、 豊受大御神様(とようけのおおみかみ)をお祀りする豊受大神宮《外宮》の両正宮を中心に、125のお社からなり、広く国民に親しまれています。 皇大神宮は第11代垂仁天皇26年(西暦紀元前4年)に伊勢の五十鈴の川上に、 また豊受大神宮は第21代雄略天皇22年(西暦478年)に度会の山田の地にお鎮まりになりました。 神宮の祭祀の基本は天皇が御自らおまつりをされることにあります。 神宮では日々皇室の平安と国家の繁栄、国民の幸福がお祈りされています。 日本人の総氏神様として慕われている伊勢の神宮の神札は神宮大麻と呼ばれ、氏神様の神札とともに神棚におまつりいたします。 天照皇大御神様の太陽の光のように暖かく、恵み多いその御神徳は、すべての人にふりそそがれ、災厄から守ってくださっています。 ご家庭で神棚をおまつりし、家族そろって日々感謝の祈りを捧げましょう。敬虔な気持ちは心を豊かにすることでしょう。

日本人は太古より自然を神として崇拝してきました。 山・川・海・森・石・人・動植物にいたるまで、天地人全ての物に神霊がやどり、その調和の中に平和な暮らしが存在すると信じてきたのです。 それ故、家の中でも要所々々に、竈(かまど)には竈神(こうじん)《荒神》、 井戸には井戸神、納戸(なんど)には納戸神、厠(かわや)《お手洗い》には厠神というように多様な神々をおまつりしてきました。 更に家庭の中心として国の総氏神(そううじがみ)様の天照皇大御神様(あまてらすすめおおみかみ)・地域の守護神として氏神様を神棚におまつりし、 国の繁栄や家の安全を祈ってきました。 日本人の信仰の大本は、自然から生まれた神、神の御分霊(わけみたま)としての祖先、祖先から生まれた自分。 自然→神→祖先→人と、自然と一体になった自然観であり、先祖と子孫をつなぐ自分、過去と未来をつなぐ現在を考える人間観・歴史観でもあります。

家庭に神棚をおまつりするということには、大きく分けて三つの意味があると思います。

人は日々の生活に流され易いものです。 神棚はそんな家庭の日常に、敬虔の空間を創ります。 神棚に祈念することで、心穏やかな精神を見出し、家内安全・子孫繁栄等の御神徳に触れていただきたいと存じます。

人生儀礼・人生のまつり

人生には様々な節目があります。我が国では安産祈願や初宮詣、七五三等に代表される人生儀礼として伝えられてきました。 お互いの無事を喜び合い、親子の絆、命の繋がりを実感させてくれる。人生のまつりについてご紹介致します。